「天」にまつわることわざには、自然への畏敬や人生の真理、人の生死に関する深い意味が込められています。
ここでは、日本語に存在する「天」のつくことわざを40種類を、それぞれの読み方と意味付きでリストにしました。
美しい表現や教訓的な言い回しを通じて、昔から日本人が大切にしてきた価値観や心の在り方が見えてきます。
ことわざを通して、日常に少しだけ「天の声」を感じてみませんか?
『天』の付くことわざ一覧
- 一念天に通ず(いちねんてんにつうず)
強く願い、ひたすら努力すれば、その思いは天に届いてきっと実を結ぶというたとえ。 - 両天秤を掛ける(りょうてんびんをかける)
二つの選択肢を比べて、有利な方を選ぼうとすること。損得を天秤にかけて迷う様子。 - 在天の霊(ざいてんのれい)
天に帰った故人の魂を敬って呼ぶ表現。亡き人の霊に向けた丁寧な言い方。 - 天にも地にも掛け替えない(てんにもちにもかけがえない)
どんなことと比べても代えのきかない、大切でかけがえのない存在やもの。 - 天にも昇る心地(てんにものぼるここち)
夢のように嬉しい気持ちを、まるで天へ昇るような感覚として表現した言葉。 - 天に口なし人を以て言わしむ(てんにくちなしひとをもっていわしむ)
天は口を持たないが、人を通じてその意志を伝えるということ。真理や天命は人を介して現れる。 - 天に召される(てんにめされる)
人が亡くなることを遠回しに表現した言葉。天に呼ばれる=死の婉曲表現。 - 天の与え(てんのあたえ)
天から与えられた恵みや才能、生まれ持ったもののこと。 - 天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず)
一人の人間に多くの才能や長所を一度に与えることは、天はしないという教え。 - 天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず(てんはひとのうえにひとをつくらずひとのしたにひとをつくらず)
すべての人は本来平等であり、貴賤や身分の差は後から作られたものであるという考え。福沢諭吉の『学問のすゝめ』の冒頭に登場。 - 天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)
自分の力で努力する人には、天がその行動を助けてくれるという意味のことわざ。 - 天を仰ぐ(てんをあおぐ)
悲しみややるせなさを天に向けるようにして空を見上げること。嘆きや祈りの表現。 - 天を摩する(てんをまする)
空に届きそうなほど高い建物や山などをたとえる言い方。 - 天を衝く(てんをつく)
空に届くほどの高さや、勢いが非常に盛んな様子をたとえる。 - 天下は一人の天下にあらず乃ち天下の天下なり(てんかはいちにんのてんかにあらずすなわちてんかのてんかなり)
天下は支配者個人のものではなく、民衆すべてのものであるという古代中国の思想。 - 天下は回り持ち(てんかはまわりもち)
権力や地位は固定されたものではなく、時代とともに変わるというたとえ。 - 天下を取る(てんかをとる)
国全体や一分野で頂点の地位を得ること。「成功の頂点に立つ」ことの比喩。 - 天下晴れて(てんかはれて)
何の後ろめたさもなく、堂々と物事を行えること。 - 天寿を全うする(てんじゅをまっとうする)
天から授かった寿命をすべて使いきり、穏やかに人生を終えること。 - 天機を洩らす(てんきをもらす)
神や天の秘密を明かすように、重大な機密や秘密を漏らすことのたとえ。
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