災いを遠ざけ、場を清める守りの風習
神事や民間習俗の中で、「祓い」や「守り」の役割を担ってきた縁起物。心身や家の空気を整え、一年の無事を願う形が多く見られます。
- しめ縄 — しめなわ
神聖な領域と日常を分ける結界。不浄を防ぎ、清らかな場を保つ役割を担います。 - お守り — おまもり
神仏の加護を身近に授かる守り札。身につけることで心を落ち着かせる意味合いも含まれます。 - 護符 — ごふ
災厄除けや願掛けのために授けられる札。家や身の回りに納め、守りとして大切にされます。 - 破魔矢 — はまや
正月を中心に神社で授与される魔除けの矢。邪気や災厄を払う象徴として一年の守りとされます。 - 破魔弓 — はまゆみ
破魔矢と対になる縁起物。矢と弓をそろえることで、より強い厄除けの意味が語られます。 - 獅子舞 — ししまい
獅子が邪気を食べるとされ、無病息災を願う民俗芸能。正月や祝いの場で行われます。
福と流れを呼び込む商いと金運の象徴
財や商いの継続を願う縁起物。市や祭礼、店先の習俗と結びつき、手元に置いて「流れを育てる」意識で扱われてきました。
- 商売繁盛木札(御神札) — しょうばいはんじょうきふだ(おふだ)
神社で授与される札を店に祀り、商いの守りとして大切にする風習です。 - 熊手 — くまで
福や運をかき集める道具として、酉の市で商売繁盛を願い授与されます。 - 福箕 — ふくみ
箕(み)の形に福を招く願いを重ねた授与品。十日戎などで見られる縁起物です。 - 福俵 — ふくだわら
俵の形に実りと蓄えの象徴を託した授与品。商いの安定や繁栄を願います。 - 宝袋 — たからぶくろ
宝を収める袋の意匠。財が逃げずに満ちること、家の豊かさが続くことを願う象徴です。 - 小判 — こばん
富や成功を連想させる形として、意匠や置物に用いられます。金運の象徴として親しまれてきました。 - 大入袋 — おおいりぶくろ
「大入り」を祝う袋の意匠。千客万来や景気の良さを象徴し、縁起物の飾りにも使われます。
正月に迎え、願いを託す神仏と吉神
福・財・健康・成功をもたらす存在として語られてきた神仏や象徴。正月の習俗や節目の祈りと結びつき、暮らしの背骨のように受け止められてきました。
- 歳神(年神) — としがみ
正月に迎える神。一年の福徳や五穀豊穣をもたらす存在として語られます。 - 歳徳神 — としとくじん
歳神と結びつけて語られることがある神。年の福徳や吉方と関わる存在とされます。 - 七福神 — しちふくじん
恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七柱からなる福の神。暮らし全体の幸福を象徴します。 - 恵比寿 — えびす
商売繁盛や大漁を司る神。笑顔の姿で親しまれ、正月の縁起物とも結びつきます。 - 大黒天 — だいこくてん
五穀豊穣と財福の神。米俵や小槌を持つ姿で知られ、暮らしの豊かさを願う信仰と結びつきます。 - 毘沙門天 — びしゃもんてん
武運・勝負運を司る神。困難に立ち向かう力の象徴として信仰されます。 - 弁財天 — べんざいてん
芸事・学問・知恵・財運と縁の深い女神。水や音楽とも結びつく存在として語られます。 - 福禄寿 — ふくろくじゅ
幸福・財・長寿の三徳を備えた神。穏やかな老神の姿で描かれます。 - 寿老人 — じゅろうじん
健康と長寿を司る神。鹿を従えた姿が特徴です。 - 布袋 — ほてい
大きな袋を持つ福の神。寛容さや人徳の象徴とされます。 - 宝船 — たからぶね
七福神が乗る船。初夢に見ると縁起が良いとされ、正月の象徴として親しまれています。 - 十二支 — じゅうにし
年ごとに巡る干支の動物。年の守りや運気の象徴として飾りや意匠にも用いられます。 - 稲荷神 — いなりがみ
五穀豊穣・商売繁盛を司る神。狐はその使いとされ、稲荷信仰と結びつきます。

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