長く健やかに生きるための瑞祥
健やかな日々や穏やかな長寿を願う縁起。自然や草木の力、生き物の姿に意味を託す例が多く見られます。
- 無病息災 — むびょうそくさい
病なく日々を過ごすことを願う言葉。多くの縁起や風習の根底に流れる考え方です。 - 鶴亀 — つるかめ
鶴と亀を組み合わせ、長寿と祝意を強めた定番の象徴。祝いの意匠として幅広く用いられます。 - 瓢箪 — ひょうたん
実が多く成ることから繁栄の象徴とされ、六つそろえる「六瓢」は無病息災に通じます。 - 薬玉 — くすだま
香草や薬草を詰めて邪気を祓う行事具。健康や長寿を願う風習と結びつきます。 - 南天 — なんてん
「難を転じる」に通じる語呂から、厄除けと健康を願う木として親しまれています。
縁を結び、関係を育てる吉兆
人と人のつながり、夫婦や家族の調和を願う縁起。結ぶ・対になる・循環する、といった発想が土台にあります。
- 紅白 — こうはく
祝いの基本色。対になる色で調和と喜びを象徴し、晴れの場を明るく整えます。 - 水引 — みずひき
結び方に意味が込められ、ほどけにくい結びは「縁が続く」願いを表します。 - 紅白蝶結び — こうはくちょうむすび
何度あってもよい祝いに用いられる結び。良縁が重なることへの願いが託されます。 - 祝儀袋 — しゅうぎぶくろ
気持ちを包んで渡す形式に、相手との関係を大切にする心が表れます。 - 熨斗 — のし
伸し鮑に由来する祝意のしるし。贈り物に添え、慶事の場を整える要素です。 - 夫婦箸 — めおとばし
二膳一組で使う箸。日々を共にする感覚が、夫婦円満の象徴として受け止められてきました。 - 貝合わせ — かいあわせ
一対の貝だけがぴたりと合うことから、唯一無二の縁や夫婦和合を象徴します。 - 縁結び守 — えんむすびまもり
神社で授与される守り。良縁を願う気持ちを託し、身近に置いて大切にされます。 - 結文 — むすびふみ
手紙を結ぶ形式に、約束や縁をほどかず守る心を重ねた表現として知られます。
願いを託された動物たち
生き物の性質や姿に、吉兆や願いを重ねてきた縁起。神話・民俗・語呂など、由来の異なる意味づけが折り重なります。
- 干支の動物 — えとのどうぶつ
その年の守りとして飾られる十二支。年替わりの象徴として、暮らしの中に取り入れられています。 - 鶴 — つる
長寿と吉兆を象徴する瑞鳥。祝いの意匠に多く用いられ、晴れの場を引き立てます。 - 亀 — かめ
長命と安定の象徴。鶴と対で扱われることも多く、祝意を厚くする存在です。 - 鯉 — こい
滝をのぼる姿に、努力や立身出世の願いが重ねられてきました。 - 鷹 — たか
初夢の吉兆として知られ、見通しの良さや勝運を願う象徴として語られます。 - ふくろう — ふくろう
「不苦労」「福来郎」などの当て字が親しまれ、幸運や知恵の象徴として扱われます。 - 蛙 — かえる
「無事に帰る」「福が返る」に通じる語呂から、旅の安全や金運を願う縁起物として親しまれています。 - 鹿 — しか
神の使いとされることがあり、神聖さと生命力を感じさせる存在として語られます。 - 狛犬 — こまいぬ
神前を守護する像。口を開閉した一対で邪気を祓い、場を清める意味を持ちます。 - 龍 — りゅう
水と結びつく霊獣。守護や繁栄、運気上昇の象徴として語られます。 - 鳳凰 — ほうおう
平和な世に現れるとされる想像上の鳥。徳と繁栄を表す吉祥の象徴です。 - 白蛇 — はくじゃ
希少性から神聖視され、弁財天信仰と結びつき財運や良縁の象徴とされます。 - 鯛 — たい
「めでたい」に通じる象徴として、食卓や意匠に取り入れられてきました。

Comment