風は古来より日本文化に深く根付いており、その影響は多くのことわざにも見られます。風のことわざは、自然の移ろいを感じさせるだけでなく、人生の知恵や教訓を伝える役割も果たしています。ここでは、風に関連する57種類のことわざを意味と読み方付きの一覧で紹介します。
日常生活や創作活動に役立つ美しい日本語の表現を学び、風のように軽やかで豊かな言葉の世界を楽しんでください。
『風』のことわざ一覧
- どういう風の吹き回しか
【どういうかぜのふきまわしか】
普段はあまり見られないことが突然起こるさま。「 - 一竿の風月
【いっかんのふうげつ】
自然の風景を楽しみ、俗事を忘れること。 - 人と屏風は直には立たず
【ひととびょうぶはすぐにはたたず】
屏風は折らないと立たないように、人も適当に妥協しないと世渡りが難しいということ。 - 何処吹く風
【どこふくかぜ】
自分には関係がないとして、知らん顔をすること。 - 八重の潮風
【やえのしおかぜ】
遠くの海路から吹いてくる風。 - 南風競わず
【なんぷうきそわず】
南方の国の勢いが振るわないこと。日本では吉野朝(南朝)の勢力が北朝に押されて振るわないことを言う。 - 君子の徳は風
【くんしのとくはかぜ】
君子の徳は風のように人々をなびかせ教化すること。「論語」顔淵から。 - 命は風前の灯の如し
【いのちはふうぜんのともしびのごとし】
危険が身に迫っていること、または、人生のはかないことのたとえ。「法苑珠林」から。 - 大木は風に折られる
【たいぼくはかぜにおられる】
高い地位にいる人はねたみや非難を受けやすいというたとえ。 - 子供は風の子
【こどもはかぜのこ】
子供は活発で寒風が吹いても戸外で遊ぶことをいう。 - 山雨来らんと欲して風楼に満つ
【さんうきたらんとほっしてかぜろうにみつ】
変事が起きる前には、なんとなく形勢が穏やかでなくなることのたとえ。「許渾」から。 - 幽霊の浜風に逢ったよう
【ゆうれいのはまかぜにあったよう】
元気のないさま。 - 役人風を吹かす
【やくにんかぜをふかす】
役人らしい態度で威張ること。 - 明日は明日の風が吹く
【あしたはあしたのかぜがふく】
明日はまた別の成り行きになるので、くよくよするなという意味。 - 月に叢雲花に風
【つきにむらくもはなにかぜ】
良いことには、邪魔が入りやすいというたとえ。 - 木静かならんと欲すれども風止まず
【きしずかならんとほっすれどもかぜやまず】
物事が思い通りにならないこと。または、親が生きている間に孝行せよという戒め。 - 柳に風
【やなぎにかぜ】
逆らわずに穏やかにあしらうこと。 - 海棠の雨に濡れたる風情
【かいどうのあめにぬれたるふぜい】
美人が雨に濡れてしおれている様子のたとえ。 - 疾風に勁草を知る
【しっぷうにけいそうをしる】
苦難に遭って初めてその人の節操や意志の強さがわかること。「後漢書」王覇伝から。 - 空吹く風
【そらふくかぜ】
周囲のことに無関心であること。 - 網の目に風とまらず
【あみのめにかぜとまらず】
無駄なことのたとえ。蜘蛛の網に風たまらず。 - 肩で風を切る
【かたでかぜをきる】
得意そうに歩くこと。 - 触れなば落ちん風情
【ふれなばおちんふぜい】
誘えば意に従いそうな女性の様子。 - 追風に帆を上げる
【おいてにほをあげる】
勢いに乗じて力を発揮すること。 - 阿呆は風邪を引かぬ
【あほうはかぜをひかぬ】
愚かな者は気苦労が少なく、体を壊さないこと。 - 隙間風が吹く
【すきまかぜがふく】
関係に隔たりができること。 - 雨につけ風につけ
【あめにつけかぜにつけ】
どんな時でも。 - 雨に沐い風に櫛る
【あめにかみあらいかぜにくしけずる】
雨風にさらされるほど苦労すること。 - 雨の宮風の宮
【あめのみやかぜのみや】
出費が多いこと。または、出費の原因となる取り巻き。 - 雲は竜に従い風は虎に従う
【くもはりゅうにしたがいかぜはとらにしたがう】
相似た者どうしが互いに求め合うこと。優れた君主のもとに優れた臣下が集まること。 - 順風に帆を上げる
【じゅんぷうにほをあげる】
好都合に物事が進むこと。 - 風が吹けば桶屋が儲かる
【かぜがふけばおけやがもうかる】
意外なところに影響が出ること、あてにならない期待をすることのたとえ。 - 風に付く
【かぜにつく】
風に乗ること。琴の声が風に乗って遠くまで聞こえること。 - 風に柳
【かぜにやなぎ】
柳が風になびくように、相手に逆らわず穏やかにあしらうこと。 - 風に順いて呼ぶ
【かぜにしたがいてよぶ】
勢いに乗じて事を行えば成功しやすいというたとえ。 - 風の前の塵
【かぜのまえのちり】
物事がはかないこと、または、危険が迫っていることのたとえ。 - 風の吹き回し
【かぜのふきまわし】
その時々の状況によって変わること。 - 風の吹くまま気の向くまま
【かぜのふくままきのむくまま】
方針を決めず、状況や気分に任せて物事を行うこと。 - 風は吹けども山は動かず
【かぜはふけどもやまはうごかず】
周囲の混乱の中で、落ち着いて動じないことのたとえ。 - 風を切る
【かぜをきる】
勢いよく進むこと。 - 風を吸い露を飲む
【かぜをすいつゆをのむ】
穀物などを食べない仙人の生活をいう。 - 風を食らう
【かぜをくらう】
事態を察知して感づき、急いで逃げること。 - 風光る
【かぜひかる】
春の日の光が照る中、そよ風が吹き渡ること。 - 風冴ゆ
【かぜさゆ】
冷たく身に染み通るように風が吹くこと。 - 風枝を鳴らさず
【かぜえだをならさず】
世の中が静かに治まっていて、太平なさま。 - 風薫る
【かぜかおる】
初夏に風が若葉の上をさわやかに吹くこと。 - 風上に置けない
【かざかみにおけない】
性質や行動が卑劣な者をののしる言葉。 - 風下に居る
【かざしもにいる】
人のふうをまねること。 - 風下に立つ
【かざしもにたつ】
劣位にいること。 - 風口の蝋燭
【かざくちのろうそく】
消えやすいこと、はかないことのたとえ。 - 風向きが悪い
【かざむきがわるい】
形勢が不利であること。または、人の機嫌が悪いこと。 - 風月を友とする
【ふうげつをともとする】
世俗を離れて自然に親しみ、風流な生活を送ること。 - 風穴を開ける
【かざあなをあける】
閉塞感のある組織や事態に新風を吹き込むこと。 - 風雲急を告げる
【ふううんきゅうをつげる】
大きな変動が起きそうな情勢であること。 - 飄風は朝を終えず驟雨は日を終えず
【ひょうふうはちょうをおえずしゅううはひをおえず】
不自然な出来事は長続きしないというたとえ。「老子」から。 - 馬の耳に風
【うまのみみにかぜ】
「馬耳東風」と同じ。 - 高木は風に折らる
【こうぼくはかぜにおらる】
高い木ほど風当たりが強く折れやすい。地位や名声の高い人ほどねたまれて身を滅ぼしやすいことのたとえ。
※ 掲載されている情報の正確さにはできる限り留意していますが、誤り等がありましたらお知らせください。
風にまつわることわざには、日本人の生活の知恵や自然との調和が詰まっています。これらのことわざを日常生活や創作活動に取り入れることで、美しい日本語の表現をより一層楽しむことができるでしょう。風のことわざを通じて、日々の言葉遣いやコミュニケーションがより豊かになることでしょう。
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